インタビュー:助産師・宮内千夏さん『みやうち母乳相談助産院』

moana People vol.1
湘南で自分らしく輝いている方に、様々な活動のお話とご自身が感じる湘南の魅力を伺っていく『moanaPeople』。

第1回目は鎌倉・腰越で『みやうち赤ちゃんおっぱい相談室』を主宰している助産師の宮内千夏さんに、お母さんたちの不安に寄り添うお仕事のこと、母乳育児について色々とお話しを伺ってみました。

宮内千夏さん

宮内千夏さん
助産師。湘南鎌倉総合病院の産科、齋藤助産院での勤務、自身の出産を経て2012年に鎌倉・腰越に『みやうち赤ちゃんおっぱい相談室』(現『みやうち母乳相談助産院』)をオープン。年間約200人以上のお母さんのおっぱいケアをするスペシャリスト。『鎌倉の産後ケアを考える会』でも活動をしている。

おっぱい相談ってどんなお仕事?

ーー宮内さんの主宰する『みやうち母乳相談助産院』とは?

宮内さん:赤ちゃんを持つお母さんの「おっぱい」に関する悩みに対応する助産院です。おっぱいに関する悩みと言っても、「母乳が出にくいけどどうしたら良いですか?」とか「おっぱいが詰まっちゃって痛いのですが…(乳腺炎)」などさまざまです。まずはおっぱいとその周辺のマッサージをすることで分泌を促進し、授乳姿勢や吸い方の改善をすることで授乳がスムーズにいくようにアドバイスしています。乳腺炎など急なトラブルにも対応しています。

また、1~3月は卒乳の相談なども多くなります。おっぱいのことはもちろん、赤ちゃんを育てる上で起こる悩み全般の相談に乗っています。私も中学1年生と小学2年生の双子の母なので、子育て中のママ目線でも話を聞き、時にはアドバイスをさせていただきます。

宮内さん

母乳分泌の促進には、出生直後からの積極的な授乳が重要!プレママの段階でおっぱいに関する知識を身につけよう!

ーー助産師さんのお仕事は、赤ちゃんを取り上げる以外にも色々とあるのですね。

宮内さん:そうですね(笑)。お産を取り扱う以外にも色々とありますよ。母乳指導など産後の母児のケアも大切な仕事です。母乳で育てたいお母さん達にとって母乳分泌の生理的に、産院に入院している期間が実はとっても大切な時期なのです。

ーーなぜこの期間が大切なのですか?

宮内さん:妊娠中期から乳汁産生ははじまっていますが、産後3日目頃から乳汁分泌量が増加していきます。この時期に赤ちゃんにおっぱいをいっぱい吸ってもらい、乳頭を刺激することで、このホルモンが活性化され、需要と供給のバランスが調整されていきます。このカラダのメカニズムをぜひ知って欲しいなとおもいます。

産院によっては母子別室のところもまだまだあります。産院からの退院前に「退院したらすぐに伺いたいのですが」と連絡していらっしゃる方も結構います。お母さんの母乳育児に対する希望などを聞いて、無理のない範囲で母乳育児がスタートしていけるよう、母乳の生理や授乳のポジション、含み方などをアドバイス、指導をしています。

赤ちゃん

ーー『みやうち母乳相談助産院室』以外にも産後ケアの活動をされているそうですね?

宮内さん:鎌倉助産師会のなかの有志で「鎌倉の産後ケアを考える会」を開業助産師達で立ち上げました。妊娠中から助産師とつながり、妊娠~出産~育児と切れ目のない支援をしていきたいということで活動しています。また、今年度から鎌倉市の事業として産後ケアが始まりました。私は「アウトリーチ型」で事業を請けています。出張での母乳相談や育児相談、沐浴のお手伝いなど退院後のお母さんの不安に対応しています。こちらに関しては市からの助成がありますので、一人で頑張り過ぎず、ぜひ活用していただきたいと思います。

鎌人市場での活動

鎌人市場での活動

プレママと産後ママのフラ教室

プレママと産後ママのフラ教室

※この会が実施している産後ケアやイベントの詳細は『鎌倉の産後ケアを考える会』のHPでご確認ください。

自分らしくいられるのは、家族と友人のサポートのおかげ

ーーこのお仕事をされていて嬉しいと思うことは?

宮内さん:私がしたケアでお母さんたちが笑顔になったり身体的に楽になったと言っていただくと、やりがいを感じますね。それとおっぱいという特別な場所を施術する仕事なので、カラダもココロも明け渡してくださる方が多いです。「ココロとココロの繋がり」を感じられる仕事ですし、赤ちゃんは無条件にかわいい。ケアしているこちらのほうが、元気をいっぱい頂いています。

赤ちゃん

ーー宮内さんが感じる湘南の魅力とは?

宮内さん:私は秋田の海辺の街の出身なので、海や自然は自分にとって当たり前のものだったので、それほどの特別感は正直あまりありません。だけど「ここが湘南の魅力だな」と感じるのは、お母さん達がみんな明るいこと。海と山に囲まれたこの土地を選んだ人達だからなのか、オープンマインドな人が多く、ママ友の枠を超えた友人が何人も出来ました。みんな自分自身をちゃんと持っていて、充実した生活を送っているからこんなにもオープンで人にもやさしいのかなと思います。

海岸の写真

ーー宮内さんの将来の夢とは?

宮内さん:「言葉にすると叶う」と信じて(笑)、お産ができる助産院をオープンしたいです。産後のケアも楽しいですが、やはり命が誕生する瞬間に立ち会う仕事が大好きで。病院との連携など乗り越えなくてはいけないハードルはたくさんありますが、自宅出産などいつか出来たら良いなと思っています。

それと現在、国際ラクテーションコンサルタント(IBCLC)と言って、母乳育児を成功させるために必要な、一定水準以上の技術・知識・心構えを持つヘルスケア提供者として国際的に認められる資格の勉強をしています。今年の10月に試験を受けるのですが、これにパスすることが一番近い目標です。

この試験を受けるために5年間、日本全国で開催される講習会などに参加し単位を取得しました。その際も子どもが3人いますので、ママ友達に子供達を預かってもらったり、主人に頼んで子ども達の面倒をみてもらい、周囲の方々に協力してもらいました。自分の夢を追いかけ続けていられるのは、家族や友人のサポートのおかげだと、日々感謝しています。まずは試験にパスして、お母さん達のよき伴走者としての助産師になっていきたいと思います。

『家族のコトバ』に宮内さんのご家族のエビソードが掲載!

光文社の人気ファッション雑誌「VERY」の人気連載『家族のコトバ』が一冊の本になりました。どの家族にも乗り越える力があることをおしえてくれた25のストーリーをまとめた本です。口唇口蓋顎裂で生まれてきた息子さんと宮内さんご家族のエピソードもこの中の1つのストーリーとして綴られています。心に響くメッセージが沢山詰まったこの本。ぜひ一度お手に取って読んでみてください。家族がもっともっと愛おしく思える一冊です。

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ライター

ライター:zion_mama
東京の某ラジオ局の広報職を経て、雑誌やフリーペーパーのライターに。鎌倉在住。音楽と美味しいごはんが大好き。子育て中のママ目線で、湘南の遊び方を提案していきます。

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