インタビュー:ベリーダンサー エルビアさん

moana People vol.13
湘南で自分らしく輝いている方に、様々な活動のお話しとご自身が感じる湘南の魅力を伺っていく『moana People』。
第13回はベリーダンサーのエルビアさんに、アラブ地域を発祥とする“ベリーダンス”の魅力、ベリーダンサーを続けながらの子育てについてなどをお伺いしていきます。

エルビアさん

エルビアさん
Elham Dance Studio(エルハーンダンススタジオ)』主宰。片瀬江ノ島の江ノ島ビュータワー内湘南マリーンスタジオにてベリーダンス教室を開催(毎週火・日曜日の午前10:00-11:30)。講師としてダンスを教える傍ら、現役パフォーマーとしてステージにも立ち続ける一児の母。

自分探しの旅で偶然出会った一生の仕事

――ベリーダンスを始めたきっかけは?

エルビアさん:ベリーダンスとの出会いは21歳の時。私は画家を目指し、母の母国イタリアに留学していました。当時の私は「一生の仕事を探そう」と、色々模索していた時期で、絵が好きだったので画家になりたいと思っていました。

エルビアさん

イタリアに行ってみると街中に画家が溢れていて、刺激的ではありましたが同時に「私、これで食べていかれるのかな……?」と不安に思うことも。学校に通っていたので、段々と絵は上達していったものの「一生の仕事=画家」と言うのが、自分の中で違う気がしてきて。

留学していたフィレンツェでの一枚

ある日、街中のとあるマーケットを訪れました。海外などで仕入れてきた洋服や雑貨などを売っているその場所は自由な空気感が漂い、不思議と居心地の良さを覚えました。何度か訪れるうちに出店者さん達と仲良くなり、彼らのジプシー的な暮らしぶりや考え方に興味を持ち、もっともっと彼らのことが知りたくなりました。

「ダンス」も彼らを知るツールの一つでした。アフリカンダンスやベリーダンスを教える人もいて、マーケットで働く多くの人達がダンスを習っていました。私はもともとダンスが大好きで、日本ではジャズやタップダンスを習っていたので、早速両方のダンスを体験することに。

大地を踏みしめるように踊るアグレッシブなアフリカンダンスと、静寂の中に強さが潜む魅惑的なベリーダンス。“静“と”動“の両方のダンスを踊ることで、自分自身の心と体のバランスがとても良くなった感じがしていました。

エルビアさん

ベリーダンスを教えてくれていたのは、マーケットで占い師として出店していた女性でした。ある日先生がショーをやると言うので観に行ったんです。

ダラブッカと言うアラブの太鼓のリズム。そのリズムに乗りながら妖艶な衣装とメイクで着飾った先生がステージの上で華麗に舞う姿を観た途端、いきなり「感電」してしまって(笑)。「自分の探していたものはこれだ!!」と。ステージの上の先生が異世界に誘う絵画に思えたのです。自分の存在がアートになれるダンス、ベリーダンスこそが自分の探していたものだと思いました。

ベリーダンスの魅力とは?

――ベリーダンスとはどのような踊りなのですか?

エルビアさん:紀元前にエジプト付近から中東全域に広まったと言われており、オスマントルコ帝国がアラブ民族を支配した14から17世紀には、ハレムの女性達が王のために踊る宴が盛んに行われていたそうです。

ステージでの1枚

腹部や腰の動きが特徴的なため欧米で「belly(腹)dance 」と、呼ばれるようになりました。エジプトでは今でも結婚式などのお祝いの席にベリーダンサーが招かれることが多く、一流ホテルやレストランなどでもショーが頻繁に開催されるなどエンタテインメントとして多くの人々に愛されている踊りです。

――エルビアさんは帰国後に日本で本格的にベリーダンスを学ばれた後に、江の島でご自身のスタジオを開講されたそうですね。

エルビアさん:イタリアの先生に「日本にも有名なベリーダンサーが居るから、その人から教わればいい」と聞いていたのですが、どなたかは判りませんでした。インターネットも無い時代だったし友達に聞いても「ベリーダンスって何?」って感じで(笑)。

姉のアドバイスでエジプト大使館に連絡をしたところ、エジプトで日本人初のプロデビューを果たした小松芳先生を紹介して頂き、小松芳アラビア舞踊団で約10年間修行しました。舞踊団のメンバーとしてステージに立たせてもらったり、インストラクターとしてクラスを教え、時間を見つけてはNYやエジプトに行き、気になる先生のワークショップなどを受けてきました。

ニューヨーク在住エジプト人の世界的な振付師ヨースリーシャリフと

ベリーダンサーとして13年が経った頃に、自分のスタジオ『Elham Dance Studio(エルハーンダンススタジオ)』を片瀬江の島にオープンしました。

スタジオとスタジオからの眺め

今までの経験から、スタジオによって踊りが変わる、例えば解放的なスタジオだと自由な踊りが楽しめたので、スタジオの場所選びは大きな課題でしたが、運良く海が目の前で、江の島をバックに伸び伸びと踊れる今のスタジオに出会いました。

レッスンの様子

ベリーダンスはリズムに合わせて体を動かすことで、初めての人でも楽しめるダンスです。アラブの音楽が非日常の世界へと誘ってくれるのも魅力の一つ。子育て中のママさんたちに、この心地良い開放感と気持ちの良い汗をぜひ一度体験して頂きたいです。また、“女性性(女性が本来持っている力)“を高められるダンスですので、出産後のママさんは勿論ですが、実は年配の方にもオススメです。

母になったからこそ成長できたダンサーとしての自分

レッスンの様子

――4歳のお子さんのママでもあるエルビアさんですが、子育てをしながらダンサーとしての仕事を続けてみて大変な事などはありますか?

エルビアさん:出産してすぐは「毎日踊れないこと」がストレスでした。私は出産3日前までステージに立ち、産後2週間でクラスに戻りました。産後は自分の体が思うように動かず、上手く指導が出来ないことにもストレスを感じていました。

出産3日前のエルビアさん

体が動く様になっても、赤ちゃんのお世話に追われる毎日で自分の時間はほぼゼロ。そのため、レッスン用の振り付けを自分自身に入れ込むことが出来ずに悩みました。

でも子どもが出来たからこそ仕事の面で気づかされたことも多く、例えば時間が無くて何曲も自分に入れ込めないならば、一曲を丁寧に集中して覚えれば良いのだと……。

復帰後のエルビアさん

すると今までずっと踊ってきた曲なのに、聞こえなかった音が聞こえるようになるんですよね。また限られた時間の中で全身全霊込めて踊ることが大切なのだと改めて気付かされました。母になって、ダンサーとしてもより成長できた気がします。

――ベリーダンスの講師としての経験が、自身の子育てに通じていると感じるところはありますか?

エルビアさん:同じことを教えても人によって吸収の仕方が違うので、生徒さんには人と自分を比べないようにと言っています。また、生徒さんによって教え方を変えてきましたが、これは子育てでも同じだと思っています。子どもの個性に合わせた学びを心がけています。

レッスンの様子

また、ベリーダンサーはステージに立って失敗することも大切な学びの一つ。失敗しながら成長していきます。生徒さんには出来るだけ多くのステージに立つことを勧めています。

七里ケ浜のコミュニティーフェスティバルにて

息子も失敗を恐れず何にでも挑戦し、失敗から多くを学んで大きくなって欲しいなと思っています。

――鎌倉で生まれ育ったエルビアさんですが、子どもとのお出かけにオススメの場所はありますか?

エルビアさん:葉山の先にある湘南国際村です。敷地内にはホテルやカフェなどもありますが、基本は“山”。自然に溢れ畑も多く、無農薬栽培の野菜を自分で採らせてくれる畑がいくつかあります。

湘南国際村
湘南国際村

食べられる花やケールなどを摘んでその場でパリパリ食べられるんです!息子も「おいしいね」なんて言いながら大好きな野菜をつまみ食いできるので、とても楽しくオススメです。

湘南国際村にはヤギや牛なども居るので、ちょっとした自然公園感覚で楽しめる場所だと思います。

私はヴィーガンなので日々の食卓に並ぶのは野菜がメインのお料理です。息子もきっと幼稚園で一番多くの野菜を知った子どもだと思います(笑)。

エルビアさんお手製のヴィーガンスイーツ

――エルビアさんの将来の夢は

エルビアさん:息子とエジプトで開催されるベリーダンスのフェスに行く事です。私はベリーダンスのワークショップに参加して、息子はアラビア語を覚えて現地の子ども達と遊んだり。日本では出来ない冒険の数々を経験してくれたら楽しいだろうなと思います。そして本場のベリーダンスを彼に見させて、私が感じた「ベリーダンス=アート」という感覚を体験してくれたら嬉しいです。

小笠原での一枚

家族旅行で行くには情勢的にも衛生的にも不安の多い国なのですが、いつかきっと。主人が同行してくれたら最高です!


ライター

ライター:zion_mama
東京の某ラジオ局の広報職を経て、雑誌やフリーペーパーのライターに。鎌倉在住。音楽と美味しいごはんが大好き。子育て中のママ目線で、湘南の遊び方を提案していきます。

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