インタビュー:石けんクリエーター湘南石鹸代表 川村耕士さん

moana People vol.15
湘南で自分らしく輝いている方に、様々な活動のお話とご自身が感じる湘南の魅力を伺っていく『moanaPeople』。

第15回は、湘南地産の原料を使ったクラフトメイド石けん『湘南石鹸』を開発した石けんクリエーターの川村耕士さん。

毎日使う石けん。自分はもちろん、大切な子ども達には出来るだけ安心で肌に優しい原材料で作られた石けんを使用して肌を清潔に保ち、皮膚トラブルを回避・軽減したいと思うものです。

ママモアナおススメの赤ちゃんから使える『湘南石鹸』の魅力と、毎日の暮らしに関わる石けんの大切な点について伺っていきます。

販売店:京急百貨店上大岡7階『ボーテガール』

川村耕士さん
石けんクリエーターであり、『湘南石鹸』ブランドの代表。石けんの啓蒙活動も行っており、逗子市や川崎市などの小学校、教育委員会と連動して小学生に石けんづくりの特別教室を実施。また逗子市では学校給食の廃油を利用した資源リサイクルの液体石けん作りを進行中。9月29日に開かれるイベント『逗子中庭カフェ』主催者。

地産原料を使った8種類のクラフトメイド石けん

『湘南石鹸』のパッケージ裏側をよく見ると「枠練り」という小さな文字があります。これ、ちょっと詳しく書くと公正取引委員会が定めた「化粧石けんの表示に関する競争規約」における必要な表示事項、つまりパッケージに書かなければいけない表示ということです。大量生産をしている石けんは機械練りと言われるもので表示義務がありません。ちょっと疑問に感じるのは当然の話ですね。

湘南石鹸

――なぜ枠練りは表示義務があるのでしょうか?

川村さん:「枠練り」というのは石鹸素地を型枠に流し入れる工程方法です。ここの工程で練るという作業はありませんが…。一般的な石けん工程方法の「機械練り」は石鹸素地に圧力をかけて押し出し機械で正確に一個当たりのサイズを設定しておけば自動的にカットされるので個別の誤差が少なくなります。工程と「練り」という言葉、ちょっと誤解しますね。

一方、枠練りはゆっくりと時間をかけて冷やし、それから手作業で断裁するので重量誤差が出やすいために表示義務があります。誤差の許容範囲は販売時、機械練りは±5%ですが、枠練りは±10%と定められています。ですので表示することで重量の誤差の理由となっています。

――「湘南石鹸」がクラフトメイドであることとは?

川村さん:「まずは、石けんの製造法は大きく分けて2種類あり、熱を利用して炊き上げる高温製法の釜炊き製法やホットプロセス製法とも呼ばれています。もう一つは、低温で練り上げるコールドプロセス製法です。湘南石鹸は低温製法で作られています。低温製法の作業工程では、手作業も多くありますが、撹拌機という機械も使いますからクラフトメイドなのです。お酒のなかでは、よくクラフトビールとも呼ばれていますね。

湘南石鹸

――機械練りに比べてコールドプロセスはどのくらいの時間がかかるのですか?

川村さん:『湘南石鹸』の場合、1ヶ月半から2ヶ月かけてゆっくり熟成乾燥させます。これだけの期間をかけると水分が15〜20%程飛んで固形化します。湘南石鹸の基本的な特徴は、100%石けん化しないことです。これは、市販石けん業界としては異端児的存在です。多くの企業は100%石けん化することが当たり前になっていますし、完成された石鹸素地を仕入れ使う場合には当然今から出来上がった素地成分を変えることはできないことですね。だから湘南石鹸は「石けんの素」となる素地から作らなければなりません。低温(コールドプロセス)製法にこだわってつくる石けん屋は皆同じような考えです。

では、100%石けん化しないということは、例えば95%が石けんとなり、のこりの5%は何かというと石けん化しなかった肌なじみの良い植物油脂が残っています。その油脂が、洗い上がりの肌にほんの少し膜として残り、肌を守ると考えます。洗い上がりの肌が「水をはじく」と、使っている方からの声を頂くのはその理由からです。

また、湘南石鹸が素地から作るもう一つ理由は、それぞれの肌別に使う基剤油脂を使ったり、配合率を変えているからです。コンプリートされた市販素地では無理なのです。湘南石鹸は100%石けん化していなくて柔らかく、型枠をつかった石けんなので「半生枠練り石けん」と命名しました。

湘南石鹸が良い子になるつもりはありませんが、石鹸製法をされている会社。釜炊き製法、低温製法、量産会社。大手、中小を問わずに今も数社に関わっています。皆さんそれぞれの信念、願いや、想いをしっかり持って作られています。どの石けんが良くて、個々の石けんが悪いと評価もしません。現代社会では、私自身も食器洗剤は石けん洗剤と合成洗剤をそれぞれ状況に合わせて使い分けています。ご理解いただければ幸いです。

湘南石鹸

――コールドプロセスに加え、『湘南石鹸』には地産原料を使っているという特徴がありますよね。

川村さん:『湘南石鹸』は現在8種あり、肌別、洗い上がり別にラインナップしています。そして、特長原料を茅ヶ崎から葉山までの地産を使っています。海塩には逗子産を、はちみつは、辻堂の中野養蜂園さんの湘南ブランドはちみつ。他にも鎌倉の竹炭や葉山の温泉水などがあります。確かに良い原料は全国にたくさんありますね。地産原料を使う理由は単純に遠くから送料をかけて送ってもらうなら、会いに行ける場所ならば直接仕入れたほうが、生産者とお話もできるし、良いなと思ったからです。でも、最初は理解されないこともあります。海塩なんかは塩職人から「うちは食のために作ってる!石けんのために作っているんじゃない!」なんて怒られました。(笑)

無添加という必然の選択

横浜の無添加パイオニア化粧品。銀座のオーガニックコスメではケミカルな成分を一切使わない化粧品会社に勤務していた川村さん。ミネラルコスメに携わった時に洗顔料として石けんに出会い、興味がわいて自分で作ってみようと試みました。

川村耕士さん

――最初に作られたのが湘南の海塩を使った石けんですね?

川村さん:今は休みがなくやっていませんが、サーフィン、ウインドサーフィンを楽しんでいました。海に入った後、1週間ぐらい肌の調子がいいんですね。私は子どもの頃から肌が弱く、乾燥期になると皮膚科で処方される塗り薬を使っていました。

後で気づいたのですが、海水は、母体の羊水と同じミネラルバランスだとわかり、肌にも良いのかなと感じるようになりました。海外ではタラソテラピーという海に浸かって皮膚トラブルを治癒する自然療法もありますし、皮膚科のお医者さんによっては塩分を含んだ石けんを勧めてくれる先生もいます。

そこで最初に石けんを作るなら湘南の海塩にしようと決めました。天然植物油脂を主成分に、他にも月見草オイルやアボガドオイル、シアバターなど保湿効果も期待できる高価なオイル、エキスもたっぷり使用しました。自分の肌のことを考えたから、ここまで贅沢にできたんですよね(笑)。

――肌をやさしく守るためには、大切なことは?

川村さん:界面活性剤を使っていないので一般的にお肌にやさしいと言われている石けんですが、市販の石けんには酸化防止剤や安定剤と言われている添加物を使っています。肌によっては、それらがトラブルになる可能性があります。製品に必要でも、私達には必要ない成分です。『湘南石鹸』は、なるべくそれらを使わないことも挙げられます。ただ石けんにも限界はありますので、肌のトラブルで悩んでいる方やお子様には、保湿ケアを最もお勧めします。化粧水を使う、変える、だけでもでも緩和できる可能性があります。

湘南石鹸

――コールドプロセスでの石けんづくりは時間がかかり量産は難しいのでは?

川村さん:現在、県内の化粧品製造メーカー内の製造室をお借りして製造しています。自分の思いを込めた化粧石けんを作りたくて化粧品協力工場を探していたところ、人から紹介され、その社長さんが私の石けんに興味を持たれたことから製造が実現しました。といっても、その製造室で私がたった一人で作っているので現在は量産ができません。

販売店:湘南 蔦屋書店2号館1階

石けんを広めていくことの大切さ

石けん教室

川村さんは『湘南石鹸』以外で積極的に取り組んでいることがあります。それは子どもとママのための石けん啓蒙活動。これまでに逗子市や川崎市の小学校で廃油を使った石けんづくりの特別教室を実施した他、横浜の百貨店で「夏休みこどもチャレンジ!石けん教室」も開催しております。

また現在、リサイクル油を使った食器用石けんも開発中。今後は、ママさんたちにも使い方やなぜ石けんなのかをもう一度伝えたいとのことでした。

――石鹸の啓蒙活動をする目的を教えてください。

川村さん:石けんクリエーターとして、石けんを広めていかなければという危機感があります。洗剤にはいろいろありますが、やはり界面活性剤はどうしても環境汚染につながります。それを理解してもらうために、教室では「汚れとは何か?」「石鹸ってどういうもの?」など、作るだけでなく基本的な知識も教えています。

川崎市で実施している教室は、今年で4年目になりました。今、逗子の池子小学校のママさんたちと学年全員を集めた教室の実施を計画中です。こういった啓蒙活動は私だけでなく、すでにシャボン玉石けんや太陽油脂といった企業も実施しているんですよ。

――それから学校給食の廃油を利用した食器洗い用液体石けんの計画もあるそうですね?

川村さん:調理で使った油は廃棄せず石鹸に再利用すれば資源のリサイクルにもなるし、子ども達は今も学校では石けんを使っています。液体石鹸を作ることもひとつの目標ですね。現在、逗子市と藤沢市の教育委員会で話しをしていますが、行政を動かすのはなかなか難しいですね。

川村耕士さん

――最後に湘南の魅力について川村さんが感じていることを教えてください。

川村さん:出身は鹿児島なのですが、2歳の時に藤沢へ引っ越してきました。以来、ずっと藤沢在住です。子ども達も私と同じ幼稚園に通い、同じ中学校を卒業しました。だから生まれは違っても私の地元です。湘南の良いところは都会にも近く、ちょっとユルいところですね。休日の過ごし方のスタイルが、服装から違いますね。そして海があって山があって、季節の遊びができることも子育てと生活する魅力のひとつです。

毎日使うものだからこそ、安心できるものを。川村さんが練り上げる『湘南石鹸』は湘南に住む子どもとママの肌を優しく守ってくれます。

その他の活動『逗子中庭カフェ』のイベント主催

逗子中庭カフェ

なお、川村さんは石鹸製作と石鹸啓蒙以外にも幅広く活動されています。そのひとつが『逗子中庭カフェ』のイベント主催。

『逗子中庭カフェ』は2020年9月27日に開催されます。湘南石鹸のアウトレット商品販売も催されるので、ぜひ足をお運びください。

ライター

ライター:TaddyBear
女性雑誌や旅行誌、カード誌など紙媒体を経て現在はWEB媒体を中心に活動しているナチュラル・ボーン・フリーライター。高校は辻堂に通っていたので湘南が遊び場になった経験あり。現在は横浜在住。湘南へ遊びに行きたいママさん目線、大切にしたいと思っています。

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