藤沢市遠藤『秋葉台公園』誰もが遊べる新しい遊具にリニューアル!

藤沢市の遠藤に広がる緑豊かな『秋葉台公園』。球技場や屋内外プール、体育館などがある運動公園として親しまれています。
この公園内の芝生広場に、障がいの有無に関係なく誰でも遊べる遊具があります。

藤沢市秋葉台公園の石碑

藤沢市が掲げるまちづくりコンセプトのひとつがインクルーシブ、「共生社会の実現をめざす誰一人取り残さないまち」。
芝生広場の新しい遊具は、このコンセプトから誕生しました。
青空の下、『秋葉台公園』の新しくなった遊具で子どもと一緒に遊んでみませんか?

公園を象徴する、巨大な宇宙船のような体育館

藤沢市秋葉台文化体育館

まるで、巨大な宇宙船が降り立ったような銀色に輝く建造物。これは、『秋葉台公園』のシンボル的存在となっている体育館です。
秋葉台文化体育館が建造されたのは1984年、設計したのは日本の建築家として著名な槇文彦(まきふみひこ)氏。槇氏は京都国立近代美術館や幕張メッセなども設計、2013年には日本芸術院賞の恩寵賞を受賞しました。
「カブト虫」の愛称を持つこの体育館、存在感たっぷりですね。『秋葉台公園』が総合的な運動公園であることを十分にアピールしていると言えるでしょう。

藤沢市秋葉台文化体育館の弓道場

園内は体育館を中心に、自由広場や球技場、弓道場、屋内外プールなどが配置されています。

芝生広場は子どもたちがいっぱい遊べる広くて安全な空間。ここに2021年3月、新しい遊具が登場しました。
子どもたちが自分の身体を使うことによって遊具の動きを楽しめることができ、障がいの有無に関わらず、誰もが一緒になって遊べるユニバーサルデザインであることが最大の特長。

藤沢市では、冒頭で紹介したようにインクルーシブなまちづくりをコンセプトに掲げています。
インクルーシブとは『包括的な、包み込む』といった意味。社会的に弱い立場の人を孤独や孤立、排除などから守り、社会の一員として支え合うという概念、ソーシャル・インクルージョン(social inclusion)を元にした用語ですね。
このコンセプトを具現化したひとつの例が、『秋葉台公園』のインクルーシブな遊具です。


安全に楽しく遊べるインクルーシブな遊具

それでは、芝生広場に設置されたインクルーシブな遊具を紹介しましょう。

複合遊具

スロープ付きのすべり台

すべり台が中心となっているカラフルな遊具です。
一般的なすべり台は階段で一定の高さまで登らなければなりませんが、この複合遊具はスロープ付き。
また、すべり台までの間を複雑にして難易度のある動線を作ったり、途中で休めるフラットな位置を設定したりなど、遊び方を限定していません。

秋葉台公園にある遊具で遊ぶ子ども

スロープの途中には少しの力で動かせる玩具が設置されています。
小さな子どもには、その動きが興味をそそられるようで、取材していた最中も女の子がカメラも気にせず、一生懸命遊んでいました。

回転系遊具

回転する子ども遊具のコーヒーカップ

回転する遊具で、誰もが思い浮かべるのはコーヒーカップ。中央のハンドルを回して動かしますよね。
しかしコーヒーカップは力も必要で安定も悪く、とてもユニバーサルデザインとは呼べません。
写真の回転系遊具は外側を押すことで動力が発生、ゆるやかに回転を始めます。みんなでワイワイ楽しむことができます。
全体のデザインは突起物がなく、滑らかなフォルム。座面は複数の子どもが座れるようになっており、高さにも変化がつけられています。背面が高い席であれば体幹が弱い子どもでも安心して座れるよう、設計されています。

スイング系遊具

車椅子のまま乗れるスイング遊具

この遊具を最初に見た時、どのようにして遊ぶのか分かりませんでした。
それを教えてくれたのは子どもたち。複数の子どもがこれに乗り、やがて前後に揺するとスイング開始。元気の良い、楽しそうな声が聞こえてきました。
フォルムは全体的に丸みを帯びており、回転系遊具と同じように突起物が見当たりません。車椅子用のスロープがあるので車椅子のまま乗ることができ、スイングさせることも可能です。

ブランコ

ユニバーサルデザインのブランコ

公園遊具の定番、ブランコもユニバーサルデザインです。
一般的なブランコといえば、台座が鎖や紐で結ばれているだけ。足や身体を使って漕ぐわけですが、どうしてもバランスは不安定になり、危険度が増します。
このブランコは写真を見て分かるように、台座は大型のバケットシート。
身体がすっぽりと収まり、さらに遊園地のジェットコースターで見かけるようなハーネスが装着されています。これなら身体をしっかりとホールドしてくれるので安心ですね。
フォルムは他の遊具と同じく全体的に丸みを帯びており、洋服がひっかかるような突起物はありません。

なお、これらの遊具はすべて一般社団法人日本公園施設業協会が定めた「遊具の安全に関する基準JPFA-SP-S:2014」に適合しています。
また遊具使用に関しては小さい子どもの場合、必ず保護者が付き添い、安全に遊べるようにしてください。

車椅子でも安心して利用できる設計の遊具

車椅子のまま遊べるインクルーシブな遊具といっても、実際に車椅子がどの程度使いやすいのか分かりませんよね。
そこで、実際に車椅子を持ち込んで使いやすさを確認しました。
車椅子は大人も座れるワイドサイズで、使用者が自分の力で動かすことができる自走折りたたみ式。がっしりとした構造で幅は約65cmあります。

車椅子の子どもも遊べる複合遊具

まずは複合遊具。
スロープは押す人にとって比較的ラクな力で進めるほどの傾斜で、左右にも余裕の空間があります。
途中のすれ違いスペースはフラットになっています。疲れた時はここに車椅子を停めても安全です。

車椅子を停めるスペース

続いてスイング系遊具。
こちらも左右は十分なスペースがあります。遊具まで段差がないので安心して乗せることができます。スロープに滑り止めがついているのも嬉しいポイントですね。

車椅子で移動可能な遊具の進入口

回転系遊具の進入口も余裕たっぷりです。
この遊具は車椅子ごと乗ることはできませんが、縁の低い部分からの移乗であれば、さほど力を必要としません。なお、座る場所は安定性のよい背面の高い席にしましょう。

実際に車椅子で移動して感じたのは、この芝生広場には段差がなく、広々とした空間なので安全性が高いということ。
どれほど遊具がユニバーサルデザインであっても、車椅子が安全に移動できなければ利用機会が減ってしまいます。
意外と気がつきにくいのですが、この空間全体にインクルーシブの概念が息づいているといえるでしょう。


『秋葉台公園』は神奈川県初のインクルーシブな公園

インクルーシブを概念とした公園、諸外国では多く見られるものの国内ではほとんど例がありません。まだ都内に数件あるだけです。
神奈川県では『秋葉台公園』が初めて。
どのような経緯でインクルーシブな遊具を導入し、インクルーシブな公園を実現したのか。神奈川県藤沢市役所の都市整備部公園課課長補佐の北村佳敬さんにお話を伺いました。

「既存遊具の改修計画に伴い、元々あったバリアフリーのすべり台を活かせないかということ、それから藤沢市のまちづくり概念に掲げている“インクルーシブ藤沢”に対応できるもの、という目的でインクルーシブな遊具の導入を決めました」
インクルーシブという概念も県内で初めてならば、導入したインクルーシブな遊具も他ではあまり見かけることがありません。
「とくにハーネスのついたブランコは市内で初めて、日本でも数少ない遊具です。またスイング系遊具は2021年3月時点で、日本で1台の導入しか確認されていません」と北村さん。

藤沢市役所の都市整備部公園課の方々

青木克彦さん(左)と久保圭一さん(右)

設置に関して、実際に現場で工事監督をされていたのは北村さんと同じ公園課の久保圭一さんと青木克彦さん。
「改修に当たっては誰でも安全に遊べるようにするため、広場をできるだけ平らにする必要がありました。改修前は地盤に意外とでこぼこしたところがあったので、遊具設置前に高さをきちんと測り、フラットにすることが苦労した点ですね。設置に関してはほぼ順調でした」と久保さん。
芝生広場に息づくインクルーシブな概念は、きちんと設計段階から計算されていた結果だったわけですね。

新型コロナウイルスの影響で閉塞感の強い、今の日本。
『秋葉台公園』には遊具や運動施設だけでなく、緑が多い散歩にぴったりの空間もあります。家の中でストレスを感じたら、子どもと一緒に『秋葉台公園』に出かけてゆったりと時間を過ごすのも、リフレッシュの方法のひとつでしょう。

藤沢市秋葉台公園のベンチ

なお、『秋葉台公園』では一部の施設を休館しているものの、遊具などの使用に規制はありません。自由に遊べますが、やはり不特定多数の手が触れます。
マスクの着用や使用後の手指の消毒、自宅に戻ってからの手洗い、うがいを必ず行ってくださいね。



ライター

ライター:TaddyBear
女性雑誌や旅行誌、カード誌など紙媒体を経て現在はWEB媒体を中心に活動しているナチュラル・ボーン・フリーライター。高校は辻堂に通っていたので湘南が遊び場になった経験あり。現在は横浜在住。湘南へ遊びに行きたいママさん目線、大切にしたいと思っています。

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