秋の訪れと共に、ビーチへの足が遠のくこの季節ですが、まだまだ海で子どもと一緒の時間を楽しみたいものです。海を愛するご家族にオススメしたいのが、今回ご紹介するNPO法人海さくらが毎月一回片瀬海岸東浜で開催している『海さくら ゴミ拾い』。
海に遊びに行く感覚で気軽に参加できるこの「ゴミ拾い=ビーチクリーン」は、ただ単に楽しいだけでなく、海をキレイにすること、ゴミを減らすことの大切さを自然と子どもの頃から身につけられるエコイベントです。
グローバルな姿勢でエコ活動に取り組む海さくらの「ゴミ拾い」で、海をキレイにする楽しさを体験、体感!
集合場所は江の島に向かう弁天橋右下の広場。土曜日の朝9時45分に集合です。
あいにくの曇り空にも関わらず、会場には既に100人程の人が集っていました。まずはテントで配布される可燃・不燃それぞれのゴミ袋とトングをスタッフのイケメン兄さん達から受け取ります。
用具も全て揃えてくれているので、手ぶらで来て参加できる気軽さが嬉しいですね。
「WORLD CLEANUP DAY 2019」であるこの日9月21日は世界約150カ国で、日本でも100カ所でビーチクリーンが同時開催されており、今回で155回目の『海さくら ゴミ拾い』もその一箇所として世界イベントに参加しました。
ビーチクリーンの発祥国エストニアとライブカメラで繋いだり、東京在住のEU諸国の人達が多く参加しているなど、ビーチクリーンの大切さをグローバルに体感できるひと時でもありました。
毎年「WORLD CLEANUP DAY」に世界中で開催されるビーチクリーン。元々はエストニアに住むたった9人の仲間による海岸のゴミ拾いから始まり、今では全世界157カ国で約1,780万人の海を愛する人々が参加するビーチクリーンイベントとなったそうです。
ステージで、イベントの流れを説明する海さくらの理事長古澤純一郎さん。なんと「面白いゴミ」を見つけるとプレゼントがもらえるそうです!
スタートの合図を待ちわびる子供達。プレゼントが貰えると聞いて、やる気がアップした様子です。
「日本一楽しいゴミ拾い」に子どもと参加してみよう!
夏休み後の砂浜には、どのようなゴミがどの程度あるのでしょうか?5歳の息子と45分間のゴミ拾いを実際に体験してみました。
一番多く目にしたのは、今年も多くの人々が利用した海の家の残骸と思われる木くず。またペットボトルのキャップやコンビニのビニール袋も多く、海水浴客の忘れゴミと思われるものを沢山拾いました。
「こんなのお魚ちゃんが食べたら大変だよね」なんて話しながら、まるで宝物を探すかのごとく楽しそうにゴミを拾いまくる息子。子どもとのそんな会話を楽しみながらごみを拾うのは、親にとってもなかなか有意義な時間です。
少し分かりにくいですが、これはルアーが付いた釣り糸。こんなものが海鳥の足に引っかかると海鳥は飛べずに死んでしまうそうです。
カップ麺のカップなどを拾ったこちらのご家族は東京から。今回で5度目の参加だそうです。動物や海の生き物が大好きな息子さんは、ビーチクリーンに参加するようになって益々動物が暮らしやすい環境づくりについて自分自身で考えるようになったそう。
終了の掛け声と共に、会場にゴミが集められます。
この日に集められたのは、約100袋の可燃・不燃ゴミと粗大ゴミの数々。
ダイバーの方々にもご協力頂き、水中清掃も行なったところ、たった40分で16袋ものゴミを回収したそう。また海の中はとても濁っていて、ゴミを見つけるのも大変だったそうです。
イベントの最後は「面白いゴミ拾った選手権」。凄いゴミ、変わったゴミ、面白いゴミを拾った人はリュックやドリンクボトルなど様々なプレゼントがもらえます。このコンテストは拍手の数によって勝者が決まるので、大きなゴミや凄いゴミが見つけられなくても、優勝するチャンスが残されているのが面白いところ。小さなゴミでもいかにそのゴミで面白おかしくパフォーマンスできるかが勝因となることも。
こちらの兄弟は子供用の自転車を携えて登壇。この日一番大きなゴミでした。
綿ごみを拾って“髭ダンス”を踊る親子もいれば、木くずを拾って“遷都くん”を真似る人も。皆さんゴミを拾いながら、その後のパフォーマンスまで考えているようです。
「ゴミで遊ぶ」大人と子ども。会場はピースフルな空気で満ち溢れていました。
環境に興味のない人に、ゴミを拾ってもらうには?
このイベントを始めたのはNPO法人海さくら理事長の古澤純一郎さん。古澤さんは東京・目黒で明治に創業された船具店の4代目で子供の頃から川や海に接してきたそうです。日々の暮らしの中で汚れていく川や海を目の当たりにし、「これは何かしないと」と思ったそうです。
大学時代に神奈川の大学に通われていた古澤さん。昔から度々江ノ島の海を訪れては、夏になると多くの観光客で賑わう海の汚さに心を痛めていたそうです。そこで大好きな江ノ島の海の美化を目的として14年前に「海さくら」を設立。最初は江ノ島・西浦の小さな浜のゴミ拾いからコツコツとスタートしました。
昔は江ノ島の海にもタツノオトシゴが肉眼でも見られたと言う話を島に住むお年寄りの方からの聞き、「タツノオトシゴが戻ってくるキレイな海」を目標に毎月一回「ゴミ拾い」を実施しているそうです。
「環境に興味の無い人にもゴミ拾いをしてもらえるようになることが、このイベントの目標です」と語る古澤さん。その為にはただゴミを拾うだけでは多くの人の関心を寄せられないと思い「参加して楽しいと思ってもらえるイベントにしよう」と思い立ったそう。14年目となる今でも、「より多くの人達に参加してもらい、海をもっとキレイにする手助けを得るためには、何をすれば良いのだろうと模索しています」と、古澤さん。
「面白いゴミ拾った選手権」をはじめ、参加するごとに押してもらえる「海さくら拾っちゃい隊」のスタンプを集めると「ゴミ拾いの達人」の証となるオリジナルTシャツがもらえるなど、リピートしてもらえるような工夫も試行錯誤されたそうです。
また、若い人達にも環境美化に興味を持ってもらいたいとの思いで、イケメンハーフ集団のASE BOUNDをサポーターに迎えたことで、モデルやタレントとして活躍する彼らのファンなどもビーチクリーンに参加してくれるようになったそうです。
海さくらは今回ご紹介している『海さくら ゴミ拾い』の他にも“海と日本プロジェクト”の一環として、お相撲さんを招いての『どすこいビーチクリーン』、毎年海の日に開催する『BLUE SANTA〜海と日本プロジェクト〜』など、イベント感覚で楽しめる様々なゴミ拾い活動を実施しています。
また、今年も片瀬海岸東浜で開設されていた『ちびっこBEACH SAVERパーク』の運営もしています。5分間ビーチクリーンと紙芝居による海ごみの勉強をすると40分施設内で無料で遊べるという素晴らしい海の遊び場は今年も大盛況でした。
どのイベント、施設も「遊びながら行うゴミ拾い」。古澤さんの思いをカタチにした参加・体験型の「ゴミ拾い」はどれも一度参加したら、二度、三度と行きたくなるものばかりです。
家族で「ゴミ拾い」をしながら環境について考えよう!
近年世界中で海岸に打ち上げられたクジラの胃の中から、数キロのプラスティックゴミが発見されると言う悲しいニュースを度々目にします。昨年鎌倉・由比ヶ浜にもシロナガスクジラの赤ちゃんが打ち上げられ、体内からは大量のプラスティックゴミが発見され、今年5月に材木座の砂浜に漂着したザトウクジラの死骸の胴体部分からもプラスチック片が見つかったそうです。
私達が暮らす地球を、その約70パーセントを占める海を大切にすること。共存しまた私達を生かしてくれる動植物のことも考えながら生きることが、未来を担う子ども達の暮らしをより豊かにします。
大切な子ども達の明るい未来のために、私達大人が出来ることは人間が汚してしまった地球をキレイな状態に戻す努力をすること。またその大切さを子ども達に伝えていくことです。
そのきっかけとなるイベントが『海のゴミ拾い』。「ゴミを拾う、ゴミを出さない大切さ」を家族で遊びながら自然と体感できるこのイベントは、「小さな気遣いが世界を大きく変える」と子ども達が理解し行動していくスタート地点となることでしょう。
また手ぶらで来て、気軽に参加できるところも子どものいる家族にとってはとても嬉しいです。江ノ島観光のついでに、地球に優しいエコな遊び「ゴミ拾い」を家族で楽しみましょう!キレイな桜貝も拾えますよ。
イベント情報
イベント名 | 「海さくらゴミ拾い」 |
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日程 | 毎月一回 第157回:11月16日(土) |
時間 | 午前10時から11時30分(集合午前9時45分) |
会場 | 江の島大橋(歩道:弁天橋)の下の広場 |
申し込み | 不要 |
HP | https://umisakura.com/ |
「ゴミ拾い」のご褒美は、『GARB(ガーブ)江ノ島』で絶景を眺めながらの癒しランチはいかがですか?キッズスペースもあるので、子どもと一緒でものんびりと気兼ねなくお料理が楽しめるお店です。
『GARB(ガーブ)江ノ島』についてはこちらの記事をご覧ください。
ライター:zion_mama
東京の某ラジオ局の広報職を経て、雑誌やフリーペーパーのライターに。鎌倉在住。音楽と美味しいごはんが大好き。子育て中のママ目線で、湘南の遊び方を提案していきます。