「切って・重ねて・煮るだけ」で、とっても美味しくできる調理法「重ね煮」をご存知ですか?
短い時間で簡単に作れて、出来た料理がとびきり美味しければ、ママにとってこんな嬉しいことはないですよね。
実はこの「重ね煮」、離乳食や幼児食にも取り分け可能。忙しい子育てママの味方になる調理法なのです。
そこで、鎌倉のご自宅で『重ね煮アカデミー®』を主宰、たくさんのママたちに「重ね煮」を伝授されている田島 恵先生に、詳しくお話を伺ってきました!
「重ね煮」について詳しく、最後はレシピもご紹介するのでさっそく試してみてくださいね。
田島 恵 先生
重ね煮料理研究家。2002年ごろ、長男のアトピー性皮膚炎と喘息で病院通いを続けていたときに重ね煮に出合う。続けているうちに徐々に長男のアレルギー症状が改善され、次第に自分自身の体も整い重ね煮の力を実感。鎌倉市の自宅で『重ね煮アカデミー®』を主宰し、「重ね煮」を全国のママたちへ届けていくために師範の育成を行っている。ママたちの悩みに寄り添い、これまで1,900名のママたちに家族の健康を整える術を届けている。
『重ね煮アカデミー®』公式WEBサイト
陰陽が調和される、重ね煮料理とは?
自然界のものは陰性・陽性の属性に分けられるという、東洋の自然観の「陰陽」の考え方から確立された重ね煮。食材も、私たち人間の身体にも陰陽の要素があるとされています。
健康であるときは、私たちの身体は陰陽バランスの取れている中庸という状態です。ですが、陰性や陽性どちらかに傾いたり、傾き加減が大きかったりすると、体調の崩れ具合も大きくなっていきます。
その傾きを最小限に抑えるバランスの取れた中庸状態に、食事から近づけるのが陰陽調和の調理法・重ね煮。身体の内側から中庸の状態にして整えていく食養生です。
食材における「陰」と「陽」について
陰性・陽性の食材には、次のような分類と性質があります。
陰性
- 身体を冷やすもの
- 水気が多いもの
- 上へ伸びていく力を持つもの
例えば…トマトやきゅうりなどの夏野菜、きのこ類、小松菜・白菜などの葉物野菜
陽性
- 身体を温めるもの
- 水気が少なく固いもの
- 下へ伸びていく力を持つもの
例えば…にんじんやごぼうなどの根菜類、玉ねぎや長ネギなど
陰陽調和=中庸の状態にする重ね煮
重ね煮では、上に伸びていく力を持つ「陰性」の食材は下、下に伸びていく力を持つ「陽性」の食材が上にくるように、鍋の底から順々に重ねていき火にかけます。
陰陽それぞれの食材が伸びていく力が、鍋の中でぶつかり合うように重ねて加熱することでエネルギーが作用しあって対流が起きます。そして陰陽が調和され、中庸の状態になるのです。
美味しくて簡単、身体に優しい重ね煮の魅力
重ね煮は、先に述べたように陰陽が調和されることを目的とした調理法ですが、家族みんながご飯を美味しく食べられるようになる魅力が満載です。
野菜が食べやすくなる
それぞれの野菜が持つクセやえぐみなど、子どもが苦手な原因となる味が、陰陽調和の重ね煮でなくなるだけではなく旨みへと変わります。『重ね煮アカデミー®』では、「優しくて甘く、まるい味になる」と表現しています。
「あれだけ食べられなかったものが多かったのに、重ね煮によって気がつくと食べられない野菜がなくなった!」という声もよく聞くそうですよ。
砂糖は使わず、油も控えめ
重ね煮で素材そのものの甘みが引き出されるので、ご飯づくりに砂糖は使いません。また、炒めないので油をあまり使わないのも重ね煮の特長。例えば、最初に材料を炒めるカレーも、鍋の中に材料を重ねて煮るだけ。なのに、しっかりコクもあってお肉も驚くほど柔らかく仕上がります。
時短・エコ料理で環境にも優しく
野菜の皮と実の間には栄養と旨みがぎっしりあるので、皮はむかずに調理。調理時間の短縮にもなり、ゴミも少なくて済みます。また、油を使わないので洗い物もラクになります。
さらに、火にかけてからの加熱時間も15分以内。野菜から出るだしは旨みのベースになるので、アク取りもしません。加熱中は放っておけるので別の作業ができ、出来上がりまで効率良く調理することがきます。
離乳食・幼児食への取り分けOK
少ない調味料で作る重ね煮は、離乳食・幼児食中の子どもにも、安心して食べさせられます。子ども用を先に取り分ければ良いので、調理の手間もかかりません。
家族みんなで同じ料理を、美味しく食べられるのは嬉しいですね。
とっても簡単!重ね煮の基本調理方法
基本的には、「切って・重ねて・煮るだけ」の重ね煮。
育児と家事と仕事で忙しい人、料理が苦手な人でも簡単にできるので、まさに子育て中の親にぴったりの調理方法です。
❶ 食材を切る→重ねる
鍋の底から重ねていく食材から切り、鍋の中に重ねていきます。「順番に切って重ねる」をくり返していけばOK。加熱中は、鍋の中で食材がぶつかり合う対流を起こすので、ぎゅうぎゅう詰めではなく、空気や水が通るようにふんわり重ねていきます。
❷ 鍋を火にかける→完成!
1の鍋に水を加えてふたをしてから火にかけます。
どのレシピも、火にかけてから出来上がりまで15分以内。水を加えることで対流がスムーズに起きるので、火が回りやすく早く仕上がるのです。
重ね煮のポイント
重ね煮を美味しく仕上げるために、以下のポイントを守りましょう。
食材の分量、加熱時間はレシピ通りに
各レシピの分量は、陰陽調和がきちんと起きる量と加熱時間が計算されています。食材によっては「もう少し使っておきたい」などありますが、美味しくできないという人は分量が違うことがほとんど。グラム数表記のときも、きちんと計りましょう。
食材を重ねる順番を守る
重ね煮は、鍋の底から陰→陽の順で食材を重ねていきます。レシピに重ねる順番も表記されているので、陰陽調和させるためにも順番通りに重ねましょう。
離乳食・幼児食の取り分け
離乳食・幼児食への取り分けを前提としているときは、調味料を少なめにするなどして仕上げます。子どもの分を先に取り出し、最後に大人用として残りの調味料で味を足します。
取り分けた子ども分は、子どもの発達段階に応じてつぶす、小さく切るなどしてください。十分柔らかいので、スプーンや小さいフォークでも簡単につぶすなどできますよ。
実際の重ね煮レシピを教えていただきました!
簡単に作れる重ね煮。実際はどんなレシピなのか、さっそく見てみたいですよね。
そこで、「汁もの」「メイン」「副菜」からそれぞれ一品ずつ、子どもも食べやすいレシピを田島先生に教えていただきました!
【汁もの】
トマト入りの重ね煮味噌汁
寝ている間に汗をかいた朝の塩分補給におすすめ
<材料>(大人2人 + 幼児1人)
※①~⑦は、鍋に重ねていく順番です
- ⑦みそ 大さじ1と1/2
- ⑥ちりめんじゃこ 大さじ1
- ⑤にんじん 30g(いちょう切り)
- ④玉ねぎ 80g(薄切り)
- ③かぼちゃ 120g(ひと口大)
- ②トマト 50g(ざく切り)
- ①ナス 60g(ひと口大)
- ★水 3カップ
<作り方>
- ❶ 鍋に材料①~⑦を順に重ねて、水をちりめんじゃこの下くらいまで加えたらふたをして中火にかける
- ❷ 沸騰したら弱火にして、野菜がやわらかくなるまで10分ほど煮る
- ❸ 残りの水を足して味を整える
<離乳食・幼児食取り分け>
7カ月以降:ナスとトマト以外の野菜を取り分けてつぶし、味が濃い場合はお湯でのばします。
9カ月以降:汁と具を取り分け、味が濃い場合はお湯でのばします。
【メイン】
重ね煮八宝菜
油で炒めなくても旨みたっぷりの仕上がり
<材料>(作りやすい分量)
※①~⑧は、鍋に重ねていく順番です
- ⑧豚肉 200g(2㎝幅に切り、しょうゆ・酒・片栗粉各大さじ1で下味をつける)
- ⑦にんじん 40g(短冊切り)
- ⑥にんにく 1かけ(みじん切り)
- ⑤長ねぎ 100g(斜め切り)
- ④白菜 250g(ざく切り)
- ③小松菜 100g(3㎝長さ)
- ②もやし 100g(洗う)
- ①しいたけ 3枚(各4等分)
- ★水 1カップ
- ★塩 小さじ1
- ★しょうゆ 大さじ1
- ★片栗粉 大さじ1(水大さじ2で溶いておく)
<作り方>
- ❶ ふたつきフライパン、または熱伝導のよい鍋(底面積が広いか薄手の鍋)に材料①~⑧を順に重ねて、分量の水を加えたらふたをして中火にかける
- ❷ 沸騰したら弱火にして5~6分、豚肉に火が通ったら塩、しょうゆを回し入れて全体を混ぜる
- ❸ 水溶き片栗粉でとろみをつける。好みでごま油(分量外・適量)を回し入れる
<離乳食・幼児食取り分け>
9~11カ月:にんにくを除き、やわらかく煮て半量以下の調味料で味つけし、野菜のみ取り分けて小さく刻みます。
12カ月~1歳半:半量の調味料で味つけし、豚肉と野菜は小さく刻みます。
【副菜】
ピーマンのきんぴら
ちりめんじゃこの代わりに油揚げでも美味しい
<材料>(作りやすい分量)
※①~④は、鍋に重ねていく順番です
- ④ちりめんじゃこ 大さじ2
- ③ごぼう 30g(ささがき)
- ②ピーマン(赤・緑)200g(千切り)
- ①ショウガ 10g(千切り)
- ★水 1/4カップ
- ★しょうゆ 大さじ2
- ★みりん 大さじ2
- ★ごま油 大さじ1
<作り方>
- ❶ ふたつきフライパンに材料①~④を順に重ねて、分量の水を加えたらふたをして中火にかける
- ❷ 湯気が出たら弱火で約2分煮て鍋肌からしょうゆ、みりんを加えて混ぜ、汁気を飛ばす
- ❸ 汁気がなくなったらごま油を回し入れる
<離乳食・幼児食取り分け>
12カ月以降:薄く味つけし、やわらかく煮ます。ごま油はなくてもOK。
まずは一日一杯の味噌汁から!重ね煮で、楽しい食卓を
「まずは、一日一杯の味噌汁から始めてみてください。実際、味噌汁の野菜の具を食べられなかった子でも、最初は汁だけ飲むことから始めました。そしたら、いつの間にか苦手だった野菜も食べられるようになったこともあります」と田島先生。
最後に、田島先生から子育てを頑張るママにメッセージをいただきました!
「お米や旬の野菜・魚・海藻などの食材を、塩・しょうゆ・みそなどの調味料で味つけし、油で炒めず水を使って煮炊きする。私たち日本人が昔からしてきた身体に馴染む食べ方を軸に、手軽に美味しく毎日続けられるようにした調理法が重ね煮です。
簡単・時短・美味しくて身体も健康になる重ね煮、まずは試してみてください。実は料理が苦手だった私もすぐに出来るようになったし、料理に自信が持てるようにもなりました。
子どもがたくさん食べてくれたらママは嬉しいし、子育ても楽しくなるはず。『重ね煮』をママたちへ『頑張って』のエールとしてお届けしています」
料理が苦手な筆者も、上で紹介したレシピを作ってみたら、息子も「美味しい!」と食べてくれました。
重ね煮で作ったものは甘くてまるい、じんわり身体に染み込むような優しい味。何より調理の簡単さを、身を持って体感しました!
『重ね煮アカデミー®』では、家族の心身のバランスを整えるための重ね煮の知恵とレシピがメールで届く、「365日の重ね煮レターレシピ」も配信しています。
「日本人の身体に合った食べ方とは」、「心身のバランスを整える食べ方とは」など、さまざまなヒントがつまったメール講座です。興味のある方は、こちらの公式WEBサイトからメールアドレスを登録してくださいね。
また、田島先生の書籍も以下の2冊が出版されています。こちらもぜひ参考にしてみてくださいね。
『はじめてママとパパでもかんたん 子どもと食べたい強いからだを作る!重ねて煮るだけおいしいおかず』(世界文化出版)
[itemlink post_id=”13149″]
はじめてママとパパでもかんたん 強いからだを作る!重ねて煮るだけ 子どものお弁当(世界文化出版)
[itemlink post_id=”13151″]
家族みんなで美味しく食べられる重ね煮。まずは一杯の味噌汁から、ぜひ試してみてくださいね。
鎌倉『重ね煮アカデミー®』
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家族は夫・息子・犬一匹。東京→逗子生活も10年以上経過。海で泳ぎ、川で魚を探し、緑の中で虫採り。これからも子どもと一緒に楽しい発見をして、たくさんのママとシェアできたら嬉しいな。