小さくてかわいい子どもの歯。生え始めると食べられるものもグンと増えて、飛躍的に食生活が変わっていくのは親として嬉しいですよね。とはいえ、むし歯や歯並びなど気になることが増えるのも事実。
そこで、小児歯科専門の歯医者さんに、子どもの歯で大切なこと、日ごろ心がけることを伺ってきました。
子どもの歯医者さんに行ったことがない方、むし歯予防に不安がある方も必見です!
ここが病院!?また行きたくなる楽しい空間で、リラックスして診察を
お邪魔したのは『葉山こどものための歯医者さん』。逗子海岸から逗葉新道入口に向かう県道沿いにあり、窓で泳ぐ大きなクジラが目印です。その外観に、「なんだか楽しそう!」と子どもはワクワクしちゃいますね。
入口を入ると目の前に広がるキッズスペース。歯医者さんとは思えない、充実の遊び場!保育スタッフの方が常駐されていて、子どもの相手もしてくれるというからさらに驚きです。
「歯医者には、定期的に足を運んでもらうことが重要です。お子さんがこの場所に慣れて、リラックスして楽しく診察できるよう心がけています」
そう優しく話してくださったのは、今回お話を伺った院長の島田学先生と植村真理子先生です。
(本記事は2020年2月に取材した内容になります。)
「歯の成長に伴う変化と機能面をしっかり診て、必要な治療はもちろん、お子さんに合った食生活もアドバイスしています」と島田先生。というのも、歯が生えてくる月齢にしても永久歯への生え替わりの年齢にしても個人差がとても大きく、育児書のマニュアル通りにはいかないことが。とくに小さいときは、生え方により食べられるものや噛める固さも違うので、離乳食・幼児食も歯の発達に沿った食材や調理法が大切。まだ噛めないものを無理に与え続けていると、そのことが噛み合わせや歯並びに影響するなんてことも。
「そして、むし歯の早期発見。もしむし歯になってしまっても、早く見つけられれば負担の少ない治療で済みます」
子どもの歯は、むし歯菌からの攻撃の鎧となる「エナメル質」と呼ばれる層が薄いので、むし歯になりやすく進行も早いそう。
「むし歯は原因があっての結果です。どこにその原因があるのか、保護者の方と一緒に考えながら探ります。それが今後のむし歯予防にもつながります」
むし歯の原因を知って解決!今日からできるむし歯予防
突然ですが、ここで島田先生から質問です。
「むし歯になる4つの要素は何でしょう?」
「それは、『歯の質』『菌の数』『食べ物の種類』『食べ方』です。この4つの要素が重なり合って虫歯になります。ひとつだけきちんと出来ていても、ほかの3つが出来ていなければ駄目なんです」
恥ずかしながら、答えられなかった著者。ひとつずつ詳しく教えていただきました!
1.歯の質 = フッ素塗布
むし歯菌の出す酸が歯を溶かし、ボロボロと崩していくのが虫歯です。酸がかけられても溶けづらくするのがエナメル質という歯の外側の層。そして、そのエナメル質を強くしてくれるのがフッ素なのです。先に述べたように乳歯はエナメル質が薄いので、フッ素塗布は有効なむし歯予防になります。自宅で歯磨き粉を使うなら、ぜひフッ素配合のものを。ただ、市販のフッ素配合歯磨きは濃度が低くゆっくり効いていくので、毎日行うことが大事。そして、年3回程度は病院でより濃度の高いフッ素塗布をしてもらうのがおすすめです。
2.菌の数 = 日々の歯磨き
口の中に潜むむし歯菌を減らすことが歯磨きです。親がする歯磨き・仕上げ磨きは向かい合って行うのではなく、きちんとゴロンと寝かせてしっかり口の中と歯の状態を見ながらしてあげてください。明るい場所で奥まで目で確認しながら、間接照明などを使って照らすとより異常にも気付きやすいですよ。
親の仕上げ磨きですが、ここでは小学校卒業まではして欲しいとお伝えしています。自分でどんなに磨けるようになっても、小学校低学年で30点、中学年で50点、高学年で70点と思ってください。大きくなるにつれ嫌がるかもしれませんが、歯の異常発見だけではなく、生え替わりの把握にもつながります。
また、ある程度生えてきたらフロスも使ってください。歯の間に詰まったものは、歯ブラシでは十分かき出せません。子どもはものが詰まっていることに気付きづらいです。ここもしっかりフロスで綺麗にすることで、詰まったときに気持ちが悪いという意識づけにもなります。
3.食べ物の種類 = 砂糖の量
4.食べ方 = ダラダラ食べない
ジュースやお菓子に含まれる砂糖は、むし歯菌の餌になります。小さいころから砂糖たっぷりの味ではなく、自然の甘さを味わって味覚を育てることもむし歯予防の上で大切な要素です。おやつというとお菓子やケーキなど甘いものをイメージされる方もいますが、本来は3回の食事で足りないエネルギーを補うもの。おにぎりやおいも、市販のものならせんべいなど、なるべく砂糖が入っていないものを選びたいですね。
そして、食べ方も大事。口寂しいから、お腹が空いたからと常に何か口の中に入っているのではなく、しっかりお腹を空かせて決まった時間によく噛んで食べるようにしましょう。
歯と口の成長は定期的に診てもらい、大切に育てていこう!
また、「症状があって治療するのはもちろんですが、症状を予防するのも小児歯科の役目です。生え替わり・歯並び・噛み合わせなどの発達、子どもの口の中は目まぐるしく変わっていきます。その変化を定期的に診ることが大事で、日常の中で改善すべきことがあれば保護者の方と一緒に考えます」と、島田先生。
例えば、常に鼻が詰まっていると歯並びに問題が出てくることも。口呼吸が多くなり、口を開けているのが長くなると、歯が前へとせり出てしまうそうなんです。
「そんなときは、グループ病院でもある耳鼻科と連携して治療を行います。ほかにも、唇周りの筋肉が弱い子は口が開きがちなので、筋肉トレーニングを行うことも。このように『健康に育つ』ために、お子さんの状態を総合的に診ています」
最後に、島田先生にどうして「子どもの歯医者さん」になったのか尋ねたところ、「僕、小さいころは歯医者が大嫌いだったんです」と驚きの回答。
「泣いて逃げて大暴れ。当時、親は相当大変だったと思います(笑)。でも、先生が僕の話を聞いてくれたり、少しでも出来たら『頑張ったね』と褒めてくれたり。口の中だけではなく、僕全体を診てくれている安心感から前向きに診てもらえるようになりました。歯は全部役割があって、一本でも失って欲しくない。時にはつらい治療をしないといけないこともあります。どんな時でも『一緒に頑張ろうね』ときちんと伝えて、子どもの気持ちに寄り添っていきたいです」
ご自身のつらい経験を乗り越えた過去があるからこそ、子どもの気持ちがより分かるのですね。
子どもの気持ちを大切にしながら、口の中の成長を一緒に見守ってくれる『葉山こどものための歯医者さん』。もちろんママやパパ、妊婦さんも診察OKです。
「むし歯の進行は生活習慣病ともいわれますが、最初のむし歯菌の侵入は保護者の方からがほとんど。だから、『家族みんながむし歯ゼロ』を心がけていただいきたいです。それに、歯並びや噛み合わせは遺伝もあるので、親の口の中が診断材料になったりするんですよ」
保育士さんに子どもを診てもらっている間にママも治療をしてもらえるし、その姿を子どもに見せることも安心感につながるかもしれません。
病院ではハロウィンやクリスマスなどの季節イベントも行っていて、受診しなくても参加できます。まずは気軽に、どんなに些細なことでも気になることがあれば相談してみましょう!優しい先生と明るいスタッフさんが、丁寧に分かりやすく答えてくれますよ。
葉山こどものための歯医者さん
住所 |
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〒240-0113 神奈川県三浦郡葉山町長柄889-1 1F [Googleマップ] |
電話 |
046-876-0311 |
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月~土9:30~13:00、14:00~18:00 水・日・祝日休診 |
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家族は夫・息子・犬一匹。東京→逗子生活も10年以上経過。海で泳ぎ、川で魚を探し、緑の中で虫採り。これからも子どもと一緒に楽しい発見をして、たくさんのママとシェアできたら嬉しいな。