カヌーで元気いっぱいに江ノ島を飛び出す子どもたち。
パドルで漕ぎ、カヌーから飛び込み、シュノーケルをつけて、湘南の海を満喫しています。
楽しみながら親しみながら、いろいろなことを学んでいけるのが『江ノ島オーシャンキッズ』。
波しぶきの向こう側に、子どもたちの笑顔があります。
『江ノ島オーシャンキッズ』は”海のスポーツ教室”
土曜日、早朝。
まだ観光客もまばらな江ノ島の参道に濃紺Tシャツを着た少年少女がチラホラとやってきます。
向かうのは人が一人やっと通れる、いかにも港町の路地を抜けた先の小さな入り江、西浦漁港。濃紺Tシャツの背中に黄色で書かれている文字は「SHONAN OUTRIGGER CANOE CLUB Japan」。これから湘南の海をフィールドにした『江ノ島オーシャンキッズ』が始まります。
『江ノ島オーシャンキッズ』は一般社団法人の湘南アウトリガーカヌー協会が主催する子どものための『海のスポーツ教室』で、ジュニアクラス(小学校4〜6年生)とリトルクラス(同1〜3年生)を対象に毎週土曜日、年40回開催しています。
今回、取材でお邪魔したのはジュニアクラス。あいにくの曇天でしたがジュニアたちはハツラツとして集まってきました。
ジュニアやリトルのクラスで指導を行っているのは岩田季美子ヘッドコーチと二階堂萌恵コーチ。
「江ノ島オーシャンキッズではカヌーに乗って海に出ますが、このスクールはカヌーの選手を輩出することが目的ではありません。海も含めて普段の自然の中で、上手な身のこなしができる子どもになって欲しいという目的が根底にあります」
そう語るのは岩田ヘッドコーチ。
ちなみに岩田ヘッドコーチは日本女子体育大学を卒業、カヌー全日本のトップクラス選手で今年もオーストラリアで行われるカヌーの国際大会、IVF Va’a World Distance ChampionshipのTeam Japanに代表選手として参加、6人乗りアウトリガーの部(V6)と1人乗りカヌー(V1)の女性部門に出場します。
また二階堂コーチは大学でカッターボートの選手経験を持ち、大学院ではマリンスポーツを研究、IVF Va’a World Distance ChampionshipのTeam Japanでは6人乗りアウトリガーの部(V6)に岩田ヘッドコーチとともに出場します。
海を熟知しており、経験も豊富なので子どもたち(とその保護者)にとって、とても頼りになるコーチですね。
IVF Va’a World Distance Championship Team JapanはFacebookもあるので、ぜひチェックを!
湘南の海で学ぶ自立心とコミュニケーション能力
湘南アウトリガーカヌークラブが設立されたのは2005年、それより5年遅れて『江ノ島オーシャンキッズ』が誕生しました、当初、子どもたちの参加は少なかったものの、今では上の画像でも分かるようにたくさんの子どもたちが集まっています。
「オーシャンキッズに入った時はあまり体力がなかったけれど、1年通ったらすごく体力がついた、と言っていただいた保護者の方もいらっしゃいました」と岩田さん。
その保護者ですが、ジュニアクラスの間、子どもたちの親御さんらしき人を見かけることはありませんでした。普通、スポーツ教室や学習塾などでは必ず親の姿を見かけるものですが…。
「江ノ島オーシャンキッズでは、自分でできることはなるべく自分で、自分でできないと思った時は友達に頼み、友達と協力しあうことを方針としています。もちろん子ども同士だけではできないことに関しては手助けするようにしていますが、基本的には手を出さず、たとえ時間がかかるようでも子どもたちでできることは任せるようにしています。
手助けするのは簡単ですが、手助けすると頼る気持ちが強くなって成長しません。子どもたちはやがて人生において、自分で判断しなければなりません。自分で判断できるように自立心を育むことも『江ノ島オーシャンキッズ』の目的なのです」
確かに、カヌーで海に乗り出せば親に頼ることなんてできません。
頼れるのは自分の判断力と回りにいるクラスの仲間。自立心と同時にコミュニケーション能力や助け合う気持ちなど、人として、社会に出る上でもっとも大事な部分を身につけられることが江ノ島オーシャンキッズ最大の特徴といえるでしょう。
ジュニアクラスの本番スタート!
ジュニアクラスが実際にどのようなことを行うのか、文章で読むより画像を追った方が分かりやすいですね。以下、実際の流れを画像とキャプションだけで構成しました。
最初は岩田ヘッドコーチと二階堂コーチによるブリーフィング。普段は当日行う内容ですが、この日は翌週の南伊豆キャンプ2泊3日の注意事項も伝達されていました。
続いて、全員が輪になって準備運動。正面にうっすらと富士山が見えます。
海に出る前はしっかりトレーニング。これは「手押し車」と「おんぶ」。自分と同じような背丈、体重の子を背負ったり持ち上げたりすることで、トレーニング効果に加えて自分自身の背丈や体重に対する認識を高めることもできます。
身体が十分にほぐれたら、いよいよ海へ。メインのアウトリガーカヌーと3艇のシットオントップタイプをみんなで協力しあって艇庫から運び出します。
安定性の良いシットオントップタイプに乗って湘南の海を快走
左手には江ノ島大橋も見えます。海からの光景、なかなか眺められるものではありません。
3人のコンビネーションがぴったり合ったパドルさばき。
江ノ島をバックに活動開始!
いきなりジャンプ!
続いてジャンプ!
さらにジャンプ!
ちょっとピンぼけだけれどジャンプ!
僕だってジャンプ!でもちょっとカメラが遅かった…。
片瀬の町をバックにもう1回ジャンプ!
シュノーケリングを楽しむジュニアもいます。
海で活動するジュニアたちを見守る岩田ヘッドコーチ。
もちろん見守るだけでなく、必要とあればコーチングも行います。ただし、細かく言うわけではなく肝心なポイントだけ教えて、あとは子どもが自分で考えたり実践したり、と自主性を重んじる教え方でした。
海に入って、さらに練習。
活動の終了時間が近づいてきました。
1時間ほどの活動を終えて西浦漁港に帰投。
またみんなで協力してカヌーを艇庫まで運びます。
最後は全員が整列。海に向かって一礼し、コーチと向かい合って一礼します。脱いだサンダルや自分の荷物をきちんと整理するなど、大切なマナーをきちんと備えているところが好感度大ですね。
お約束の集合写真、なのですが元気いっぱいのキッズは前列水色Tシャツを着たリトルクラスで、後列のジュニア勢はすっかりお疲れの様子です。
あれだけ海で元気を放出していたのだから、お疲れなのも当然の話。これはこれで江ノ島オーシャンキッズの“リアル”な画像となりました。
今回の取材ではアウトリガーとシットオントップタイプの両方に同乗させていただきました。
感じたことは何より海が近く、海と一体化することの大切さ、面白さです。
海面スレスレの視界は大きな開放感を与えてくれますが、わずかなうねりでもカヌーは上下しますし、方向転換や進行はすべて人力で行わなければなりません。潮の流れを見定めないとよけいな労力を使う反面、押し寄せる波に乗って海を滑る爽快感も味わえます。
カヌーで海に出る時は、海の状況を知ることが大事であると同時に、自分のコンディションも正確に把握しておく必要があります。海で無理をすれば自分が危険になるだけでなく回りにも迷惑をかけます。
これらのことは、1人ではなかなか学べるものではありません。
信頼できるコーチや一緒に活動する仲間がいる環境だからこそ、安心して学べると言えます。たとえジュニアの時代だけでその後にカヌーを降りることになっても、江ノ島オーシャンキッズで学んだことは、その後の人生でずっと、役に立つでしょう。
スクール情報
実施場所 | 江ノ島及び周辺の海 |
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実施日 | 毎週土曜日、年間40回 |
実施時間 | ジュニアクラス(小学校4〜6年生)8:00〜9:45 リトルクラス(小学校1〜3年生)10:00〜11:45 |
入会金 | 5,000円(税込み) |
年会費 | 60,000円(傷害保険料込 スポーツ安全保険加入区分:A1) |
展示ホール入場料 | 子ども(小・中学生)100円 大人(高校生以上)300円 |
HP | http://www.shonanoutrigger.com/school/about/course.html#Kids |
※申し込み、問い合わせはリンク先のフォームに入力
ライター:TaddyBear
女性雑誌や旅行誌、カード誌など紙媒体を経て現在はWEB媒体を中心に活動しているナチュラル・ボーン・フリーライター。高校は辻堂に通っていたので湘南が遊び場になった経験あり。現在は横浜在住。湘南へ遊びに行きたいママさん目線、大切にしたいと思っています。