「NPO パパラギ“海と自然の教室“」が、毎年4~6月に江の島と鎌倉で開催する『海岸生物観察会』。
「江ノ島編」に引き続き、今回はライターjpbananaがバトンタッチ!「鎌倉編」にお邪魔してきました。
場所は、鎌倉・材木座海岸の「和賀江島」があるエリア。ここは遠浅で干潮時は広範囲に潮が引いてくれるので、小さな子どもでも動きやすい磯遊びスポットです。
今回の観察会の様子や、そこで出会ったたくさんの生き物を紹介します。楽しい磯遊びタイムに、ぜひ参考にしてみてください!
歴史深い「和賀江島」で、磯遊びスタート!
鎌倉・材木座海岸でも逗子寄り、東端の沖合にある「和賀江島(わかえじま)」。
鎌倉時代の1232年に、貿易の港湾として人工的に築かれた日本最古の築港遺跡です。
江戸時代までは港として利用されていたのですが、震災や老朽化で現在は石のがれきが面影として残っているのみ。普段は海中ですが干潮時にはその姿を現し、潮だまりで生き物を観察することができます。
今回の「鎌倉編」も以前に紹介した「江ノ島編」同様、チーム分けを行い、事前説明をしっかり聞いてから磯遊びスタートです。
石を積み上げて築かれていた「和賀江島」。その崩れた石が遠浅の海底に広がり、石の下やすき間が生き物の恰好の生息地になっているのです。
ヤドカリやカニが歩き回り、石の間を小さな魚がすいすい泳ぎ回っています。
石をゴロンと裏返してみるのもおすすめ。隠れたり、張り付いたりしている生き物に出会えることも。
岩やテトラポットなどのすき間も生き物の宝庫。気配を消してじっと待っていると、ひょっこりと生き物が顔を出してくることもあります。
海の中を凝視しているママと娘さん。二人で楽しそうにおしゃべりしながら生き物を探しています。
すごい集中力を発揮していたお父さん。「ヤドカリがいるぞ!お、カニだカニ!」と、歓声を上げながら夢中になる姿は、まるで少年のよう!
パパラギスタッフの方が、採った生き物の種類や特徴を教えてくれます。実際の生き物を見ながら図鑑で詳しく解説してくれるので、とても分かりやすい!子どもの興味や知識がどんどん広がりますね。
採ったどー!この日に出会った生き物コレクション
最後は皆で集合して、各自で採った生き物を見せ合います。
それではここで、この日に出会った生き物たちをずらりご紹介します!
トップバッターはサバの赤ちゃん(とカニ)。
なかなかすばしこかったのですが、海藻が溜まっている場所に逃げ込んだ瞬間をゲット!小さくてもしっかりと目が大きいのがサバ特有ですね。
続いて、磯ではポピュラーなカニ「ヒライソガニ」。平らな甲羅が特徴で、その色は茶色や深緑、そして写真のような白い個体もいるそうです。
こちらはカニに見えてカニじゃない、ヤドカリの仲間でその名も「イソカニダマシ」。
見分け方は足。カニはハサミ以外、足は4対ですが「イソカニダマシ」は3対。石の下に潜んでいて、見つかると後ずさりするようにすばしこく逃げるそうです。
なんと、「アオリイカ」の赤ちゃんにも会えました!
その大きさは2センチ程度、まだふ化したばかりなのでしょうか。小さいながらも一生懸命泳ぐ姿に、子どもも大人も「かわいい!」と大興奮でした。
カニや貝だけではなく魚もたくさんいる、にぎやかな水槽。
魚は「アゴハゼ」の稚魚で、大きくなると全長8センチにもなるそう。一時間程度でここまで捕まえられるのはすごい!
こちらは「ヤツデヒトデ」、7~8つの腕があるヒトデです(写真は腕が9つあった!)。
ヒトデは切れた腕を再生することができて、切れた腕のほうからも体を再生することができるそう。すごいですね!
その「ヤツデヒトデ」を石の上にひっくり返して置くと、体全体を上手く曲げながら自力で起き上がります。その姿に子どもも大人も釘付け。「がんばれ!がんばれ!」と夢中で応援していました。
さらに、気にしておきたい危険な生き物も実際に目にすることができました。
写真はスタッフの方が網で捕まえた「ゴンズイ」。
口のまわりにひげがあるのが特徴で、体に黄色のしまがあります。数十匹の群れで泳ぐ様子が「ゴンズイ玉」とダイバーに人気ですが、背びれと胸びれに毒とげがあるので決して触らないようにしましょう。
こちらは「アカクラゲ」。傘に赤い放射線状のしま模様があり、傘から伸びる触手は長いものだと2メートルにもなるのだとか。その触手に刺されると、強い痛みを伴ったミミズ腫れや水ぶくれに。つい触りたくなりますが、くれぐれもご注意を!
磯遊びが大好きなわが家。昔から、近場の磯に家族でよく遊びに行っていました。
今回、この『海岸生物観察会』に初めて参加してみて感じたことは、最後に皆で採った生き物を見せ合うことで、よりたくさんの生き物に出会えること。
そして、皆でワイワイと「見せて見せて!」「すごいねー!」「これは危険ですよ」と声をかけ合いながら生き物を探す時間を共有できたことがとても楽しかった!
『海岸生物観察会』から学べる海の環境のこと
「NPO パパラギ“海と自然の教室“」の母体は、「パパラギダイビングスクール」。スタッフの方はスキューバダイビングの資格を持って、湘南や伊豆、沖縄、さらに世界の海を潜っています。
そこで目の当たりにしているのが海の中の環境変化。海水温の上昇により、海の中では冬がなくなっているような状態なのだとか。
例えば、湘南の海にもたくさん生息している写真の「ムラサキウニ」。冬の冷たい海水温のときは不活性状態で冬眠のような状態になるはずが、高い海水温のため常に活動しているそう。
ウニの餌は海藻。その海藻は温かい状態では育ちにくい上、冬眠しないウニに食べられてしまい、湘南の海では海藻がずいぶん減ってしまったそうです。
反対に、冬になると暖かい南の海へ南下していくはずの魚を、冬の湘南の海で見かけることが最近では増えてきたそうです。
海に潜っているからこそ分かる状況を、子どもたち、その次の世代に伝えていきたい。そして、海で楽しい思い出をたくさん作ってもらいたい。家族で楽しかった海は、きっと大人になっても大切にしたいと思ってもらえる。
そんな願いも込められた『海岸生物観察会』なのです。
もっと海を身近に、もっと海を好きになろう!
江ノ島と鎌倉の磯遊びスポットで開催されている『海岸生物観察会』。
残念ながら今年の江ノ島編は終了、6月12日(土)・13日(日)、26日(土)・27日(日)に開催される鎌倉編も人気で満席だそう。しかし、キャンセルが出ることもあるので、参加してみたい方は「パパラギ”海と自然の教室”」にお問い合わせください。
ちなみに、鎌倉編は10:00集合。最寄りの材木座駐車場は混み合うので、早めの到着がおすすめです。
『海岸生物観察会』に参加できなくても、もちろん自分で生き物を探すことができます。
潮だまりで磯遊びが楽しめるのは大潮や中潮と呼ばれる、干満の差が大きくなる時期の干潮時。「潮汐(ちょうせき)表」と呼ばれるもので確認できるので、ぜひWEBなどで検索してみてくださいね。
また、潮だまりまで行かなくても、砂浜でも干潮時はヤドカリなどが探しやすいですよ。
生き物に出会うことで海の楽しさはもっと広がります。そして、子どもの興味ももっともっと深くなることもあります。何より大人も楽しい!
『海岸生物観察会』の様子は「パパラギ“海と自然の教室“」のブログに、また観察会でよく見られる生き物図鑑もあります。参考にしながら、親子で磯遊びを楽しんでくださいね。
特定非営利活動法人 パパラギ”海と自然の教室“
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10:00~18:00 |
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WEBサイト |
https://umino-npo.com/ |
SNS |
「パパラギ”海と自然の教室”」が主催する『海岸生物観察会』、『海岸生物観察会~江ノ島編』の記事もご覧ください
家族は夫・息子・犬一匹。東京→逗子生活も10年以上経過。海で泳ぎ、川で魚を探し、緑の中で虫採り。これからも子どもと一緒に楽しい発見をして、たくさんのママとシェアできたら嬉しいな。