小田急片瀬江ノ島駅から徒歩3分。
正面に相模湾を望むロケーションに『新江ノ島水族館』があります。
通称『えのすい』は、数ある日本の水族館の中でもトップテンに入る規模の施設。
多種多彩な展示やショーは、広大な海で繰り広げられる物語の楽しさと奥深さを教えてくれます。
イワシの群れに目を奪われる「相模湾大水槽」
相模湾の広い海岸線は湘南の魅力のひとつ。関東だけでなく、日本国中から憧憬を持たれているスポットと言えるでしょう。
おしゃれな雰囲気に目を奪われがちな湘南の海ですが、いろいろな海の生き物が棲んでいるところでもあるのです。
相模湾はとても複雑な地形をしており、水深1000mを超す相模湾トラフと黒潮が運んでくる栄養素が多種多様な海の生態系を作り出しています。これを再現しているのが『新江ノ島水族館』の「相模湾大水槽」。チケット売り場から館内に入り、最初の展示スペースとなる相模湾ゾーンにあります。
高さ9m、水深6.5m、容量1,000トンで水槽に使用しているアクリルガラスの厚さは41cm。自然に近い環境を作り出すために2つの造波装置で、つねに波を発生させているのが特長のひとつ。
この水槽内にはアジやサバ、タイといった食用魚やエイなど100種の生物、約20,000匹が暮らしています。
最大の見どころは約8,000匹のマイワシ。
相模湾は日本でも有数のイワシの漁場として知られていますが、その生態は海の底に潜らなければ見ることができません。水面上からの光を受けて銀色に輝きながら、つねにその全体像を変えて群泳する光景を見ていると、いつの間にか自分が海の底にいるような気分にさせてくれます。
相模湾ゾーンには「相模湾大水槽」の他、相模湾の環境と生物の多様性を紹介する「岩礁水槽」や「季節来遊魚水槽」、「相模湾キッズ水槽」など、数多くの展示コーナーがあります。
幻想的な空間の「クラゲファンタジーホール」
『えのすい』の歴史は前身である「江の島水族館」から始まります。開設したのは1954年。
水族館の1号館に続き、1957年にはイルカの飼育とショーをメインとする2号館(マリンランド)、1964年には鯨類など水生生物を網羅した3号館(海の動物園)が開館、3号館体制が確立され、近代的な総合水族館として親しまれていました。
1号館の中で注目を集めたのはクラゲの研究と飼育。今でこそクラゲの展示は水族館で当たり前のように行われているものの、当時の日本ではとても珍しく、以後、クラゲ展示の先駆け的存在となったのです。
60年以上にわたって蓄積された研究と技術、展示手法は『えのすい』の「クラゲファンタジーホール」に引き継がれました。
クラゲの体内をイメージする半ドーム式のホールに入ると、最初に目にするのが中央の「クラゲプラネット」。
球形の水槽はクラゲを美しく展示するために設計されたもので、中で優雅に泳ぐクラゲをあらゆる角度から見ることができます。
このホールの壁面には大小13の水槽があり、常時約14種類のクラゲが展示されています。
水の中をゆらゆらと動くクラゲの姿はとても幻想的。眺めているだけで、気持ちが癒やされます。
浮遊生物のクラゲは約6億年前から地球に生息していた、と言われています。その生態系や特徴は研究によって解明されつつありますが、それでも未知の部分が多くあります。
とても不思議な生き物ですね。
このホールには『えのすい』がこれまでの研究成果やクラゲの最新情報などを展示している「クラゲサイエンス」もあります。
クラゲ担当えのすいトリーター※が実際に飼育作業をしているところも見られるので、クラゲの不思議に惹かれた人は必見です。
※えのすいトリーターとは生物を飼育(treat)し、お客様をおもてなし(treat)する『えのすい』展示飼育スタッフの呼称
躍動感いっぱいの「イルカショースタジアム」
アカウミガメやアオウミガメを間近で観察できる「ウミガメの浜辺」、カピバラが暮らす川辺の草原をイメージした「カピバラ〜陽だまりの草原〜」などの展示スペースの先にあるのがイルカショースタジアム。
えのすいトリーターとイルカやアシカが共同で繰り広げるパフォーマンスの数々からは、お互いのコミュニケーションの深さを感じさせます。まさにショーのタイトルとなっている「きずな/Kizuna」ですね。
スタジアムはステージのあるプールを、すり鉢状の座席が囲んでいるのでどの席からもショーを見渡すことができます。最上階席後方にはベビーカー置き場がありますよ。
とくに最前列席は迫力満点!ただし、ヤンチャなイルカたちが水を浴びせようとするので気をつけてくださいね。
壁面には登場するイルカたちの名前と画像が表示されているので、事前に情報を知っておくとショーがより、楽しくなるでしょう。
意外と人気を集めているクレーンゲーム
イルカショーの所要時間は約15分。始まる前の時間調整や見終わった後の休憩に最適なのが「オーシャンデッキ」です。
撮影日はあいにくの天気で残念な眺望となりましたが、晴れていれば左手に江ノ島、右手に富士山が見えるという絶好のビューポイントになります。
「オーシャンデッキ」の直ぐ側にある「スタジアムカフェ」のソフトクリームやドリンクはそのままイルカショーに持ち込むことができますよ。
また「オッターショップ」では海の生き物グッズやイベント関連商品を販売。子どもたちだけでなく、お土産にしても喜ばれるグッズが揃っています。
このコーナーで意外に人気を集めているアミューズメントがクレーンゲーム。
ペンギンやイルカ、アンコウやサメといった生物に加え、深海調査艇など『えのすい』オリジナルのマスコットが景品です。一般的なクレーンゲームと異なるのは、1プレイ500円で、欲しい景品が取れるまで何回でも挑戦できること。ハズレなしは嬉しい設定ですね。
クレーンゲームの横には打刻できるスタンプメダル販売機があります。今どきスタンプメダルなんて、と思う人もいるでしょう。でも、ゴルフをやっているパパや友人にマーカーとして贈れば、喜ぶこと間違いなし、です。
パパも男の子も喜ぶ「深海Ⅱ〜しんかい2000〜」
とにかく展示コーナーが多い『新江ノ島水族館』。「深海Ⅱ〜しんかい2000〜」も見どころのひとつ。
ネーミングでも分かるように、深度2,000mまで潜れる日本初の深海調査用潜水艇で、1982年から2002年までの間に1,411回の潜航を行い、数々の研究成果を残しました。
現在、その役目を担っているのはしんかい6500。
展示してあるしんかい2000は実物で、コクピットの様子や深海調査研究の歴史なども見ることができます。とくに、メカ好きのパパや乗り物好きの男の子には興味深い展示スペースですね。
安心して館内を楽しむために心がけたいこと
そこで気になるのがコロナ渦の中での鑑賞方法。『新江ノ島水族館』の企画開発部広報チームマネージャーである山崎秀之さんにお話を伺いました。
「ゴールデンウィーク中は事前予約制を設けていましたが、現在は行っていません。感染予防対策としてはチケット購入前に体温の測定と手指の消毒を行っていただき、館内ではできるだけ密にならないよう皆様にお願いをすると同時に混雑を避けるための対策をしています。たとえばイルカショーなどは事前に見学者数を限定し、定員いっぱいにするのではなく、お客様同士の間隔を空けるなどソーシャルディスタンスを心がけています」と教えてくれました。
その検温システム、『えのすい』ならではの工夫が見られます。サーモカメラがなんとパンダの顔。
これなら子どもたちも威圧的な雰囲気を感じることなく検温に応じられますね。
また館内にはいたるところにポンプ式のアルコール消毒液が設置されています。座席や展示水槽のガラスなど、不特定多数が触るところが多いので、こまめに手指の消毒を心がけましょう。
前身の「江の島水族館」から数えて60年以上の歴史をここ、片瀬海岸で育んできた『新江ノ島水族館』。ママモアナの読者や地元の人々に対して山崎さんは以下のように語ってくれました。
「『えのすい』では入場料2回分の価格で1年間、何回でも入場できる年間パスポートを発行しています。地元の方々はこれを利用して、親子で公園へ行くような気軽な気持ちで来館していただきたいと思っています」
2021年6月10日現在、「イルカと握手」や「カピバラにごはん」など、生き物と触れ合うプログラムは休止しています。ソーシャルディスタンスを保つためにはやむを得ない措置でしょう。
コロナ渦が早く収束し、笑顔で生き物と触れ合うことのできる日が待ち遠しいですね。
『えのすい』の最新情報はこちらをチェック!
『新江ノ島水族館』公式WEBサイト
新江ノ島水族館
住所 |
---|
〒251-0035 神奈川県藤沢市片瀬海岸2-19-1 [Googleマップ] |
電話 |
0466-29-9960 |
開館日・開館時間 |
新江ノ島水族館公式WEBサイトをご覧ください |
休館日 |
年中無休 |
入館料 |
大人2,500円 高校生1,700円 中学生・小学生1,200円 幼児(3歳以上)800円 |
駐車場 |
無し※近隣の有料駐車場を利用 |
WEBサイト |
http://www.enosui.com/ |
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ライター:TaddyBear
女性雑誌や旅行誌、カード誌など紙媒体を経て現在はWEB媒体を中心に活動しているナチュラル・ボーン・フリーライター。高校は辻堂に通っていたので湘南が遊び場になった経験あり。現在は横浜在住。湘南へ遊びに行きたいママさん目線、大切にしたいと思っています。